春高楼(こうろう)の 花の宴(えん)
巡(めぐ)る盃 かげさして
千代の松が枝(え) わけ出(い)でし
昔の光 いまいずこ
秋陣営の 霜の色
鳴きゆく雁の 数見せて
植(う)うる剣(つるぎ)に 照りそいし
昔の光 いまいずこ
いま荒城の 夜半(よわ)の月
替(かわ)らぬ光 誰(だ)がためぞ
垣(かき)に残るは ただ葛(かずら)
松に歌うは ただ嵐
天上(てんじょう)影は 替らねど
栄枯(えいこ)は移る 世の姿
写さんとてか 今もなお
嗚呼(ああ)荒城の 夜半の月
[ Romaji ]
古い城の上にのぼる月を思い浮かべると、昔のにぎわいと今のしんとした様子が重なって見えました。華やかな宴を想像すると胸がきゅっとなり、同時に風や草がゆっくり時間を刻んでいるのが伝わってきました。移り変わる世の中と変わらない光が並んで、心が落ち着きました。遠い昔の声や笑いをたどるような気持ちになり、誰かのために輝いていた光が今もどこかで生きているように思えました。夜空を見上げると、やわらかな哀しみと穏やかな励ましが同時にやって来て、静かに前へ進もうという力が湧きました。自然が歴史を包む様子に触れて、ひとりで考える時間が豊かになりました。