我(われ)は海の子白波(しらなみ)の
さわぐいそべの松原に
煙たなびくとまやこそ
我がなつかしき住家(すみか)なれ
生まれてしおに浴(ゆあみ)して
浪(なみ)を子守の歌と聞き
千里寄せくる海の気を
吸いてわらべとなりにけり
高く鼻つくいその香(か)に
不断(ふだん)の花のかおりあり
なぎさの松に吹く風を
いみじき楽(がく)と我は聞く
丈余(じょうよ)のろかい操(あやつ)りて
行手(ゆくて)定めぬ浪まくら
百尋千尋(ももひろちひろ)海の底
遊びなれたる庭広し
幾年(いくとせ)ここにきたえたる
鉄より堅きかいなあり
吹く塩風に黒みたる
はだは赤銅(しゃくどう)さながらに
浪にただよう氷山も
来(きた)らば来れ恐れんや
海まき上ぐるたつまきも
起(おこ)らば起れ驚かじ
いで大船(おおぶね)を乗出して
我は拾わん海の富
いで軍艦に乗組みて
我は護(まも)らん海の国
[ Romaji ]
潮の匂いと塩の風が体にしみこんでいるような力強さが伝わり、幼いころから海とともに育った日々がやさしく思い出されました。波の音を子守歌にして育った記憶は、遊び場が深い海底まで広がるほど自由で、体も心も鍛えられてきたことが感じられました。荒れた海にも動じない落ち着きと、嵐に立ち向かう勇気が同居していて、頼もしさがにじみ出ていました。大きな船に乗り出す決意や、国を守る覚悟が静かに示されており、読後には外の風に当たりたくなるような清々しさが残りました。潮の恵みで育った暮らしぶりや、波とともに働く日々の誇りが伝わり、家族や仲間と分かち合う温かさも感じました。古くから受け継がれた技や知恵が息づいていて、若い世代へ伝える責任感がにじんでいました。読み終えてからは、海の広さに抱かれる安心感と、未知へ踏み出す好奇心が同時に湧き、外の世界を確かめたくなる気分になりました。海で培った力は日常の小さな出来事にも生きていて、困難に直面しても冷静に対処する術が身についていると感じました。読後は海の風景が頭に残り、元気が出ました。また船に乗りたくなりました。