夏も近づく八十八夜(はちじゅうはちや)
野にも山にも若葉が茂(しげ)る
「あれに見えるは茶摘じゃないか
あかねだすきに菅(すげ)の笠(かさ)」
日和(ひより)つづきの今日此頃(このごろ)を
心のどかに摘みつつ歌う
「摘めよ摘め摘め摘まねばならぬ
摘まにゃ日本の茶にならぬ」
[ Romaji ]
若葉が広がる野や山の風景と、人々が手を動かす穏やかな営みが一緒に浮かび、春の息づかいがやさしく伝わってきます。朝の光を浴びながら歌を口ずさむ場面は温もりがあり、見ているだけで穏やかな気分になりました。摘むたびに季節が形になっていく様子が目に見えるようで、作業のリズムが暮らしを支えていることがよく分かりました。昔から続く習わしが人と自然をつなぎ、誰かと分かち合う時間の価値を改めて教えてくれます。風の匂いや日差しのやわらかさがそっと寄り添い、外へ出て確かめたくなるような素直な喜びが残りました。