幾年(いくとせ)ふるさと 来てみれば
咲く花鳴く鳥 そよぐ風
門辺(かどべ)の小川のささやきも
なれにし昔に 変らねど
あれたる我家(わがいえ)に 住む人絶えてなく
昔を語るか そよぐ風
昔をうつすか 澄(す)める水
朝夕かたみに 手をとりて
遊びし友人(ともびと) いまいずこ
さびしき故郷(ふるさと)や さびしき我家(わがいえ)や
[ Romaji ]
久しぶりに帰った場所で、花や鳥や小川の音が変わらずに迎えてくれる一方で、家に人の気配がない寂しさが強く伝わってきました。昔いっしょに遊んだ相手の顔がふと浮かび、声をかけたくなるけれど誰もいないという現実がじんわりと胸に広がりました。風や水が昔の出来事をそっと映しているようで、懐かしさと哀しみが混ざり合っていました。時間が過ぎても残るものと消えてしまうものの差を考えさせられ、静かに手を合わせたくなる気持ちになりました。