愛ゆえに 心熱く
愛ゆえに 翼は光る
いま あなたのもとへ…
黒い鋼(はがね)で 青空を
斬って眩しい 燕よ 燕
風を信じて 風に乗り
越えた海原 虹いくつ
会いに行きたい 人がいる
熱き翼を だきしめて
沁みる花冷え もどり雨
軒にせつない 燕よ 燕
岬 小島に 城下町
香る山川 故郷(さと)あたり
飛んで行きたい 街がある
疾(はや)き翼で いますぐに
光る切っ先 ひるがえり
影を走らす 燕よ 燕
春のぬくもり 持ち寄って
ともに笑う日 涙の日
会いに行きたい 人がいる
強き翼で どこまでも
[ Romaji ]
鋭い風を切るような躍動感と郷愁が同居する表現で、読み進めるうちに空の広がりが目の前に現れました。黒々とした翼が光を受けて走る描写は鮮烈で、かつて抱いた遠方への思いがふと蘇りましたし、現在は力強く前へ向かおうとする意志がはっきり示されていました。季節の移ろいが織り込まれた情景描写は繊細で、冷たい雨や春の温もりが交互に差し込むことで感情の振幅が生まれていました。語り口は素直でありながら詩的な余白を残し、誰かに会いに行くという切実な願いが静かに胸を打ちました。