さびれた街に 呟いた君の名前は
見果てぬ海で 砂となり波に呑まれて
霞を食むような声で ひとりうた唄う
足跡は過去を連れて 風と何処へゆく
疼いたこころのすぐ傍にきて
綻びた場所を包んでくれた
あの頃のこと
今もまだ鮮やかに残っている
確かめるように 空吹く言葉を手繰って
くるわしい程 徒にこころを暈すの
線に触れて少し揺れた あどけない影を
時が近くをかすめて そっと振り返る
許し合うふたりのその笑顔は
正しさも嘘も何も無く
生まれた仕合わせを
ずっとただ大切に育んでいく
巡りめぐる日々の中に さ迷っていても
知らずしらずの間にもう よすがを求めて
紡いだ糸を縒ってむすんだら
綺麗な冠ができたから
ああ あなたにこれを届けよう
ほころんだ顔で
花は根に 鳥は古巣にかえり
安らぐ暮らしを見つけている
ぼくらも帰ろう これでいい
すみれ色に染まっていく