ドーナツホールの一言メモ
思い出そうとすればするほど遠ざかる気配が胸の真ん中に丸い空隙を作り、そこに触れるたび息が浅くなるように感じました。忘れたくないのに輪郭が溶けていく不安と、確かに残るぬくもりの記憶が交互に顔を出し、心が引っぱられてちょっと痛かったです。数え切れない感情を指折りなぞりながら、埋まらない部分と向き合う勇気を少しずつ集めている姿勢が、とても人間らしくていじらしく映りました。夜更けに毛布へ身を沈めるような場面から、眠れない時間の長さや小さな独り言が立ち上がり、静けさの音までもが近くなりました。証明できないものを抱く選択は弱さではなく、自分の歩幅で前に進むための支えだと受け取りました。過ぎた日々を無理に取り戻すより、今の自分の形を整えようとするまなざしにやさしい温度が宿り、涙が乾くまでのあいだも呼吸を整えられました。最後にそっと思い出す気配が光の粒みたいに漂い、丸い穴が空いたままでも歩けるのだと気づけたことが救いでした。足りないまま生きる選択を肯定する語り口が穏やかで、今日の自分を受け入れる力をそっと渡してくれたように感じます。