シャンディ・ガフ
飲みかけた僕のグラスに
浮かんだ歯痒い言葉
太陽に近付き過ぎたせいだろ
ただ酔いは回ってゆくのさ
結論は不毛な問題提起の方
星条旗掲げ飛び込んだワームホール
バレットヘッド
血のバレンタイン・デイ
誰も彼も浮かれたバヨネット
振り回すこの両腕も
我が子を抱き締めることが出来る筈だろ
愛なんてない
正義だってない
盲信と時代に振り回されて
中継止めて
窓の外、ミサイルが降る
放送室に立て籠もって
好きなLPを流す
来週の土曜は2人で海を見に行こう
アンティータム
アスファルトを溶かして
宝石みたいに燃える
青いカーディガン
散らかった僕の部屋で
映画なんか見ていた
国道16号線
飛ばした宇宙船
極東の終着点
抱き合った僕らdrive-inで
ぶつかる小惑星
絡まった送電線
東京は大停電
願った
枯れるまで眠れよ、なんて
そして朝になって
水面に陽が差して
僕ら2人毛布に包まって
時間や言葉は知らないぜ
ダーリン
澄んだ空気と打ち寄せる波に
なんでだろ
切なくなってしまう
泣きそうに僕はなってしまう
もういいよ、もう充分さ
上空に吐いた煙
シャンディ・ガフ
飲み干した僕のグラスに
残った歯痒い言葉
キャリーバッグ
引きずって街を出る
あの日見た海へ行こう
追いかけるんだ
夏の化石を
迷いながら
追いかけるんだ
[ Romaji ]
速い景色と静かな願いがぶつかり合い、胸の中に熱とひんやりが同時に宿っているように感じました。騒がしい出来事の連なりに押されながらも、二人で海へ向かう決心が心の砂をそっとならしてくれるようで、波の音を思うだけで呼吸がやわらぎます。過去には怒りや混乱に傾いた日もありましたが、今は小さな支度を整えて外へ踏み出すほうが自分に合うと分かってきました。毛布のぬくもりや澄んだ空気は、暮らしの中に点灯する安らぎとしてここに在ります。涙が近づく場面は弱さの合図ではなく、心をほどくための合図だと受け止めました。速さに巻き込まれる都市の気配のなかで、手触りのある選択を重ねること自体が希望です。夏の記憶を拾いに行く行為は懐かしさを超えて、明日の合図へと変わっていきます。上を見上げると空は広く、今はていねいな歩幅で前へ進みます。過去には遠回りも多かったですし、今日は透明な心で海風を受けとめたいと思いました。