南北に走る車のタイミング見て
一斉に駆け抜ける 渡っちまえばそこには
高架下 秘密を持ち寄った小さな宇宙
コンクリート 冷たい暗渠 か細い線路 砂の山
この世のノイズがまじり響く
胸騒ぎ止まらぬ夏の昼下がり
誰にでも居場所はあるもんだ
心が透き通ってゆくような
ひんやり深い森に
抱きしめられる
そんな気分になれるという
それは今もそこに
ある日家族がなんだか慌てていた
おじいちゃんがはねられ足が折れちゃったんだって
近所の病院の固そうなベッドの上で
はやく家に帰らせろって看護婦に怒鳴りちらしてる
わかるよわかる 横断歩道ないけど
大好きな畑までの近道だもの
誰にでも居場所はあるもんだ
思わず笑ってしまうような
漫画のヒーローを
本気で目指してる
いつかの自分になれるという
それは今もそこに
そのうち一人二人と町から流れ出してゆき
僕もあの道をたどり 何かを追いかけていった
喧騒に揉まれ 成長しただなんて
みっともない勘違いに気づいたよね
誰にでも居場所はあるもんだ
何も言わず叱られてるような
ずる賢い心嗤うような
それでいて待っててくれるような
流れる川に
何度も飛び込む
いつかの自分になれるという
それは今もそこに
そこにある