一世風靡セピア「月姫と右京太夫の恋煩い」歌詞

月影　朧(おぼろ)　草木(くさき)も沈まり
忍び寄る影が二つ流れてく
涙がきらりん　闇夜中(やみよなか)浮ぶ
あれこそ愛おしや　閨間(ねやま)の月姫
軒端に近づく　右京太夫
影は寄り添おって　いつしか一つに

一夜(ひとよ)限りの戯(ざ)れ言(ごと)　楽し
見守っているは月夜と星の瞬(またた)き
一夜限りの戯(たわむ)れ　嬉(うれ)し
まるでこの世は　ああ　二人の為にある様に―――

やがて白々と　朝は明けて来た
忍び寄る影が二つ別離(わかれ)てく
お陽様が覗(のぞ)き　二人は再び
日中(ひなか)に出食わしたが、あらま感違い
太夫は姫を　姫は太夫を
お互い正面(まとも)に　もう一度見やる

こんな相手と一夜の夢をみるぞ
けむ　けり　けれ　けるの変格活用なり。
ああ　それを想うだけで辛くなる。
こんな相手と語らうなんぞ
まるでこの世は……地獄絵巻―――

そないな事を　繰り返すうち
やっぱり闇夜は一人じゃあれこれ淋(さび)しい
そないな事を　繰り返すうち
やっぱりお陽様は二人を夢から覚ました―――

閨間(ねやま)の月姫　軒に太夫
愛しく果無い　ああ恋煩(こいわず)い

寄っては離れ　離れて　寄って〜
それの繰り返し
それの繰り返し！