雪が 街の音を
吸い取りながら降りつもる。
小さい頃の僕は
雪あそびが好きだった。
両手が かじかんでも
ひとりきり ただひたすらに。
あの雪を 頭に積もらせ笑うのは
僕と君
丸くて白い君は、スノーマン。
「奇跡は起こらないよ。」
窓にたたずむ大人の僕。
今じゃ、雪はただの
「交通の邪魔。」 寒いだけ。
あぁ スノーマン
僕は、今はもう、
大人になってしまったよ。
思い出が 僕を凍らせて 立ち止まる。
あのころの、素敵な世界は戻らない。
夢は現実へ。
「うそつき!! 絵本の世界は
本当はないんだろ?
信じるだけムダなんだろ
うそつき うそつき」
“僕を創ってよ”
雪が言うよ。
“あのころみたいに僕を
君のスノーマンにしてよ”
僕は創るよ。スーツのまま。
手がかじかんでも。
一人きり、ただ、ひたすらに。
白い雪 頭につもらせ、できたのは
あのころの
丸くて白い、ただの雪だるま。
今 解る。
やっぱり奇跡は起こらない。
けど、
今 解る。
僕が信じれば、
やっぱり 君はスノーマン。
「スノーマン スノーマン
また、一緒に遊ぼう。
朝日に君が溶けても
また 作るよ。」