顧みる間も無く 夢中で働いてた あの夏の日
ポストに入ってた 人間ドック 「再検査」の封筒
体の悲鳴を伝える 赤い数値と レントゲン写真
やり残した仕事 扉の向こう パパの帰り待つ家族
忘れかけてた自分の 内側から立ち上る 黒い雲を
無理に振り払い 気づかぬフリで 日常に逃げ込んだ
小学校入学式 うららかな春の帰り道
鈍い痛み 幸せな日々に 突きつけられた診断結果
脂肪肝 高血糖 高血圧 生活習慣病
どこか他人事だった病名が 体に忍び込んでくる
「命にかかわる問題ですか？」と お医者さんに聞いてみた
このまま暴飲暴食と 運動不足じゃ 3年後 どうなるかは 正直分からない
と言われ
あいまいな死刑宣告 豊さを誇示する タクシーをやめ
駅から溢れ出す 人波に紛れ 歩いて会社に向かう
あいまいな死刑宣告 成功噛み締める ためだけに食う
コース料理に背を向け ウサギの様に 野菜ばかり食べて
一日でも多く 家族との時を 過ごすことだけを
願い 刑の執行を引き延ばすため 歩き続けるボクは死刑囚
あの夏の死刑宣告 欲望を優先した日々を捨て
自分と家族の未来を 犠牲にしようとした 罪を償う
あいまいな死刑宣告 伸び続けていく 平均寿命を
最後まで 健康で生きられる人は どれくらいいるのだろう
働き疲れたカラダを 今度は ボクが助ける番
執行猶予の 赤い数字が消えるまで 歩き続けるボクは死刑囚
♪無重力状態な 宇宙に浮かぶロケット 軽そうだから