ほらまたそうやってこするもんだから
反対側にもついたよ
なにがおかしいんだか
まあでもどうせもうすぐ顔なんか見えなくなるしね
前かごの水筒と君のライトとぼくのベルがあれば
まだカレーの匂いはしないな
じゃんけんポンで隠れた土管の中で
いつまででも待った君の足音
もういいかい、もういいよ
ぼくならここさ
君もよく知ってるいつものあの場所さ
ほらまたそうやってこするもんだから
目のまわり赤くなったよ
なにが悲しいんだろう
新しい制服とてもよく似合っているのに
前かごの水筒と君のライトとぼくのベルがあれば
まだカレーの匂いはしないな
はずれの棒で書かれた砂の文字は
ぼくの知らないどこか遠い町の名で
もう少し大人になれば分かるかな
たくさんこぼれた涙のそのわけも
どこまででも眺めた行き止まりは
「それじゃまた明日」の大きな赤で
いまもまだ題名は貰うことなく
固い背表紙にいつまでも綴じられたまま
たとえばきみの笑い声や
たとえばきみの苦手なもの
たとえばきみがうたう歌や
たとえばきみが流した涙