がらんどうの胸に覚えた違和感さえ
ひとりきりでは御しきれない
この目も鼻も耳も、内側の僕に届かない
茫漠たる灰の海で
痛みさえ忘れていたんだ
そんな僕の目の前に現れたあなたに
見えないものを見たんだ
あなたと僕の間にあった温度を
僕の弱さを少し預けていられた
あなたの言葉が僕の鎖を解いて
空が白んでいくような
この手の中の光が、心だと知ったんだ
誰かを傷つけてしまう悪夢で
浅い呼吸を繰り返して
その矢印の向きを、この胸の奥に集めて
安寧の孤独の中で
静かな終わりを願って
少しずつ冷えていく何かが寂しかった
それでも構わなかった
誰かを愛して、愛されたいと望むこと
同じ数だけ痛みがあるということ
そうして鎖した僕の胸の奥まで
あなたで満ちてしまったんだ
壁が崩れて橋が架かって、僕は
あなたがくれた呼吸で
優しい刃で
見えた形の無いものを
この手の中の光を、護りたいと願った