心の中に棲みついた怪物が餌をねだって蠢く
そいつが妙なことを言うんだ
「おまえの要らない心を食らってやる 追い出さないなら」
僕はこの取り引きを利用した
ドロドロしてる醜い感情 場所を取るだけの後悔
馬鹿みたいに喜んで食らった
次第に自分の心が澄み渡っていくのがわかって
本当に最高の気分だった
どんなことでも許し認め合っていけるさ
嘘偽りも余計な装飾も捨て去って
映った世界のすべてが優しいものに感じた
鏡のようなものだったと今は思うよ
ひりつくような感覚が湧き上がってきたのもそんな頃で
要らない心を食らわせ切ったら
どうしてだかそいつのことが気の毒に思えてきてさ
大事なほうの心も分けてやろうもう少しくらい構わない
そんな風に思えて
もう一つもう一つとそいつは食らっていった
一つまた一つと僕は差し出しつづけた
これ以上は心がなくなって僕自身が消えてしまうけど
迷いなく最後の一つを探した
求めてるから応えようとしたんじゃなくてさ
赦しですらない何も生むことのない行為だ
悲しくもなくてどうでもよくなっていたんだ
おかしな話だろ要らない心だけを捨てたのに
ああそっか馬鹿なのはこっちだったみたいだ
そいつは僕に「ありがとう」と言って最後の一つを食らった