忍(しの)ぶ不忍(しのば)ず 憂き世の橋で
来ない貴方に 爪を噛む
不実(うそ)と真実(ほんと)の 真ん中で
惚れた弱みの 迷い花
どうせ咲いても 夢ん中
映る水面(みなも)の 十六夜(いざよい)月は
夜毎(よごと)かたちを 変えてゆく
まるで貴方の 胸のうち
醒めぬ夢なら 縋(すが)るけど
どうせ届かぬ 窓の月
儘(まま)にならない 憂き世のさだめ
誰に見せよか 夕化粧
紅も哀しい 手鏡(かがみ)ごし
ひとり爪弾(つまび)く 三味(しゃみ)の音(ね)に
どうせこの世は 夢ん中
[ Romaji ]
憂き世のままならない運命に翻弄されながら、届かぬ想いを抱えてひとり三味線を弾く姿が、水面に映る月のようにはかなく描かれていました。嘘と真実の狭間で揺れ動く心の迷いが、夜ごとに形を変える月と重なり合い、深い哀愁を誘います。叶わぬ夢だと知りつつも、鏡越しの自分の姿に寂しさを募らせる繊細な描写が、三味線の音色と共に夜の静寂へと溶け込んでいくような美しさがありました。