夕陽が落ちて 岬町
ぶらり覗(のぞ)いた さすらい酒場
まずはどうぞと そそぐ手の
袂(たもと)にのぞく 傷のあと
行方(ゆくえ)さだめぬ 男の胸を
ジンと突き刺す 女将(ママ)がいる
うなじの細い その風情
どこか虚(うつ)ろに 心をゆする
夢は捨てたと 笑ったら
拾ってあげると しゃれるひと
わたし幸せ ならないように
生きていますと ぽつり云う
いさり火遠く にじむ海
何を好んで さすらい暮らし
旅はあしたも 続くから
愛しさこらえ 酒を呑む
恋に生きたら 楽しいだろに
胸の誓いが 邪魔をする
[ Romaji ]
旅路の果てに立ち寄った場所で、互いの背負う影を静かに分かち合う刹那の交流に、深い情緒を覚えました。かつては孤独な放浪に寂寞を募らせましたが、現在は不意に触れた他者の優しさを噛み締め、再び険しい道へ踏み出す活力を得ています。交わされる言葉の端々に滲む諦念と、隠しきれない情愛が誠に奥ゆかしく感じられました。