あなたから届いた手紙 陽のあたるテーブルの上
僕はペーパーナイフ 指に遊ばせて遠い日を見つめてる
どこに帰っていったの あの夏の日 二人の足跡をさらった風波
離れて初めてあなたのこと 少しわかった気がするから不思議さ
この街を出ていくと言った このままじゃ二人どこへも
進めはしないとあなたは泣いた 真っ赤な夕暮れに
色褪せない写真は嫌いだ だって思い出は淡いセピア色に
滲んでいくくらいがちょうどいい 傷つけあった時間も愛しいくらい
キラキラした水平線に僕らの壊れた明日を浮かべ
舳先を空に沈んでいくのを手を取り眺めた
もう閉じてしまった物語を本棚の高いとこにしまうように
あなたの手紙は封を切らず 青く澄んだ空へと投げ捨てた
どこに帰っていったの あの夏の日 二人の足跡をさらった風波
波うち際を走る背中が遠ざかるのを僕はここで見送る
[ Romaji ]
過ぎ去った季節と共に揺れる心情が丁寧に描かれていて、読む人の胸に静かな響きを残しました。手紙や写真といった身近なものが象徴となり、記憶の中で淡く滲んでいく思い出が切なくも美しく感じられます。離れて初めて分かる気持ちや、過去を振り返りながらも前へ進もうとする姿勢には、人間の複雑な感情が込められていました。水平線や夕暮れの描写は、時間の流れと心の揺れを重ね合わせるようで、景色そのものが感情を映し出しているように思えます。壊れた未来を見つめながらも、そこに愛しさを見いだす表現には、痛みと優しさが同居していて、心に深い余韻を残しました。遠ざかる背中を見送る場面には、別れの寂しさと同時に相手を想う温かさが漂っていて、読む人の心に静かな力を与えてくれます。