窓を開けたら真っ白な世界
起き抜けの目に突き刺さる光
まだ誰の靴にも 一台の車にも
踏まれたことのない雪が広がる
そう思ったら前の駐車場に
ぴょこんぴょこんと耳の長いやつ
サンダルを突っかけ 思い切り転んだ
冷たくて思わず声が漏れた
「ひゃっ」
そう思って目を開けたらそこには
広げたままの教科書とノート
授業の終わりの 鐘の音とともに
かすかに残る雪の冷たさが
九月の午後の空に溶けていく
いつかそんなクリスマスの朝を
[ Romaji ]
真っ白な朝の驚きと日常のささやかなズレを静かにすくい取る語り口で、窓辺の光景が記憶の断片と重なっていく感触が印象的でした。過去に経験したちょっとしたはしゃぎや転倒のような出来事が生き生きと想起され、当時の無邪気さが確かにあったことが伝わってきましたが、現在はその記憶をやわらかく受け止める余裕が生まれているように思えます。言葉は飾りを抑えつつも詩情を含み、教科書やノートといった日常の小物が情景を具体化していました。全体に漂う穏やかな静けさが、冬の朝の冷たさと温度差を巧みに際立たせていて、穏やかな微笑みを誘うような優しい余韻が残りました。