殺(と)るのは 細工(さいく)も 刃(やいば)も 要(い)らぬ
瞳子(どうし)の 魔(ま)にて 自滅(じめつ)の 花(はな)と 散(ち)れ
俄(にわか)の 破約(はやく)に 道理(どうり)を 求(もと)めても
運(めぐり)の火(ひ)は 和(な)ぎを知(し)らず
争(すま)ふ 苛厳(かげん)の 星(ほし)が 揺(ゆ)らめき
彷徨(さまよ)い 竦(すく)む 心(こころ)を 照(て)らして 呉(く)れる
己(おの)が 行(ゆ)き場(ば)など
此(こ)の 期(ご)する 刻(とき)の 果(は)てにて 待(ま)て
永久(とわ)に 停(と)まぬ 斜道(しゃどう)
転(まろ)ぶならば 其(そ)の 奈落(ならく)で 絶(た)て
恋(こ)うのは 熟(う)れざる 覚悟(かくご)で 出来(でき)る
童子(どうじ)の 如(ごと)く 否(いや)むは 恥(はじ)と 知(し)れ
然(さ)らでは 斯(こ)の 冥(くら)き 闇(やみ)を 呑(の)み干(ほ)せぬ
凍(い)て付(つ)く儘(まま) 燃(も)え焦(こ)がりて
奏(かな)ず 和弦(かげん)の 響(ひび)き 翳(かす)みて
忍(しの)びて 残(のこ)る 純裏(ひつら)を 剥(は)ぎて 切(き)り裂(さ)く
己(おの)が 行(ゆ)き場(ば)など
此(こ)の 期(ご)する 刻(とき)の 果(は)てにて 待(ま)て
永久(とわ)に 停(と)まぬ 斜道(しゃどう)
転(まろ)ぶならば 其(そ)の 奈落(ならく)で 絶(た)て
争(すま)ふ 苛厳(かげん)の 星(ほし)が 消(き)ゆ
望(のぞ)みも 絶(た)えし 心(こころ)は 澄(す)みやかに 澱(よど)む
生(い)くるも 死(し)ぬも 沙汰(さた)は無(な)し 何(いず)れとて
離(はな)れるに 勝(まさ)る 終焉(おわり)は あらず
然(さ)らば 剣(けん)をとれ
名前(なまえ)無(な)き 愛(あい)の 墓標(ぼひょう)を 刻(きざ)め