俺のアディダス。こいつはここだけの話。
俺のアディダス。こいつはあの人への誓いの証。
俺のアディダス。俺なりの人としての志。
俺のアディダス。俺のアディダス。
どうせ領収書の束しか入ってないし、サイフくらいならくれてやるよ。どうせ迷惑メールしかこないし、ケータイくらいならくれてやるよ。
なくなって困るっつったらこのスニーカーくらいのもんさ。踏みこむとき。踏みきるとき。駆け上がるとき。転げ落ちるとき。
俺のアディダス。こいつはここだけの話。
俺のアディダス。こいつはあの人への誓いの証。
俺のアディダス。俺なりの人としての志。
俺のアディダス。俺のアディダス。
是が非でも避けるべきは、戻ろうと思えばいつでも戻れるような場所に留まることさ。断頭台の薄情さ。
ちょいでもケツがむず痒くなるや否やで何処、其処、誰、彼、構わずに引き千切ってきたんだ。
四方八方、隙間なく角を立て、誰ぞの人差し指とは真逆の方向に疾走する一枚の自走式歯車。
噛み合ってたまるか。噛みつき合うんだ。絡めとられてたまるか。一方的に掻き回すんだ。
俺のアディダス。こいつはここだけの話。
俺のアディダス。こいつはあの人への誓いの証。
俺のアディダス。俺なりの人としての志。
俺のアディダス。俺のアディダス。
けれどそれは、だからこそなんだ。忘れるわけがない、だからこそなんだ。
ぼんやりとタバコの煙の行方を見つめながら、天下獲るまではここに帰ってくるなってぽつんと呟いた、
あのフォーク小屋のオヤジのどこか寂しげな横顔を。
そんなに気を遣って注文しなくていいからゆっくり考え事していってねって、
俺の手元のノートをひょっこり覗き込んでは微笑んでくれたあの喫茶店のマスターのささやかな激励を。
そして栄光へと続くリングの上で勝負するチャンスを与えるべくで、俺をドサ回りから引っこ抜き、
銀色に輝くスクリーンの中に放り込んでくれたあの人の涙を。
忘れるわけがない、だからこそなんだ。
走り出し続けろ。変わり続けろ。
裏切り続けろ。応え続けろ。
見守っていてくれ。
一等星に生まれてくることができなかった以上は、一等星より目映い大金星を狙ってやるさ。
ダイヤモンドに生まれてくることができなかった以上は、ダイヤモンドより硬い意志を貫いてやるさ。
ホンモノぶっ倒す、極上のバッタモン。
何か文句あるか?世の中、勝った者勝ちだったろ?
俺のアディダス。こいつはここだけの話。
俺のアディダス。こいつはあの人への誓いの証。
俺のアディダス。俺なりの人としての志。
俺のアディダス。俺のアディダス。
俺のアディダス。