ああ、どうしてラブソングは
乾いたカスタネットの音しか奏でないのか?
肉体を枕にしてそれはまるで
ひび割れた骨がぶつかりあっているようだ
おれはおれたちの時代にしがみついている
モラルのハンマーを憎む
その幻影にとまどいながら、
ベルベットの雨、
絶望の降りしきる夜、
君は孔雀のように羽をひろげる
この世界で無残に壊れたものを再び壊しながら
夕暮れ時、
踊り娘たちは彼女たちのイカレタ神の元へ帰ってゆく
人工的に豊かな実りの都市が口元に浮かぶ詩情にキスしている
そう、おれの記憶の中の君はとてもイカシテいた
コロンビア産の白熱に陶酔していた
おまえを名づけてみよう
A Saj e na an pe.
慈悲と均等の土地
神々の眠る古き場所
国中の柔らかな猿の子ら、君らは自由と結婚すべきだ
若き孤独な連中たちのロマンス。だれも汚れてはいない
君らは「近代」という名の奇妙な前夜祭に招待された者たち
誰れが君らをおおい隠そうとするのか?
意志は持続しているのも知らずに
年老いた船乗りたちの声が聴こえる
まだ見ぬ暗がりの子ら、
君らのすべての過ちが枠づけられている
おれは君らの情熱を撮影し、
おれの仕事に君らを滑りこませてみよう
身勝手さに搾取されているのなら、
言葉の激しさに燃え尽きているのなら、
おれは君らの横にそっと身を横たえよう
君らは喜びを奏でる音楽のように、
揺りかごや腹いっぱいの食糧を与え続けるんだ
君らは森や池でさまよう鳥たちのはばたきにも似て、
そう、君らは太陽の子、
君らは月の兄弟
この国の冷酷な習性にも染まらず、
ひとところにとどまることをしらず、
君らは君らのやり方で手足を動かす
その熱く性急な想いは誰れにもじゃまできないだろう
国家よ、感じているか?
うまく寄りそえない者たちが
奮い立つまで辛抱強く待てないでいる
聖者が来ないと不満を並べたてながら
エレクトリック・ギターをかき鳴らしている
凍てついてからもう長い間経っている
国家よ、おまえの丘に立つさまざまな亡霊を
あいかわらず守るがいい
時のすばやさに気をとられながら、
自身の弱さをかばいながら、
身を防ぎながらも闘い、
やがて死んでゆく姿を想起せよ
まちがいなくおれたちは、慈悲と均等の国の子供たち
魅力的に不可能なゲームを遊んでいる
国家よ、聴こえるか.
おまえはどこか遠くへいってしまった鷲の叫び、
おまえは毒を盛られた狼のうめき、
おまえは群れから離れた孤独なペリカン
おれはおまえのひろびろとした山々と豊かな平原に立ち、
不吉に奏でられる風の音を感じている
かつて、ほろ苦い冬の門にひとり立ち、
おおいなる決意を抱き、踏みだした君
春の風、
鳩の瞳、
果実の収穫、
ヒアシンス、
憂鬱な冬を越え、君は喜びを唄う
海に釘づけされた瞳ではなく、
どこか不可解な場所にいることを嘆くのではなく、
おれとともにいてほしい
この街の影に息をひそめる愛しき者よ