見たくもない
わたしで満たした
古びた記憶の水槽
出口も無いまま
回り回って
いつまでも淀み続けている
悲しさを見落としてしまうのは
それだけ暗さに目が慣れただけ
世界も、人間も
きっとそういうもんだって
影だけを切り離せないみたいに
逃げたくても逃げられない
自分を抱えて走っている
何もわからないの
降り注ぐ夢に
笑い、歌っていた過去は
濡れる羽のように
わたしを引き留めるんだ
遠くなって、見失った
小さな愛を
もう一度願ってみてもいいかな
昔みたいに
笑ってみてもいいかな
向き合えば
嫌な所ばかりが目について
ふと目を閉じてしまう
そうやって、その周りにある思い出まで
無かったことにしたんだ
そして過去は
鱗のようにいくつも重なり合い
臆病なサカナになって
暗く、深い
夜の底を泳ぐんだ
バツをつけた過ちも
独りよがりな想いも
全部飲み込んで
持ち主の帰りを待っている
大切な忘れ物を抱えて
わたしはわたしで精一杯で
誰かのためなんて柄じゃなくて
大人になりきれない
記憶のサカナばかりが育っていく
追いかけ回したはずの時間に
いつしか追いかけ回された
ただ立ち止まって
振り向くだけでよかったのに
もう誤魔化さないで
取り繕っても
過去が消えることはないから
辛くても、連れて行くんだ
情けなくて、目を逸らした
本当のわたしを
もう一度
もう二度と、逃げたくない
光になって
笑い、歌っていた過去は
揺れる花のように
わたしを色付けるんだ
遠くなって見失った
小さな愛を
もう一度、願ってみてもいいかな
昔みたいに、歌ってみてもいいかな