ねえ、どうか聞いて。
忘れて良かったことなんて
ただの一つも、文字通り無くてさ。
歌詞なんて生きていたら思い付くから
覚えていられない方が余程、怖いよ。
比べるほど、比べないほど、
あなたの輪郭は大体になっていって
年々太っていく手が掠っただけで
読み取れなくなっていた。
最初で、最後の独白です。
声だけでいいから聞きたいです。
叶わないから言えることです。
弱さを隠さないのもきっと加害です。
うん、それで合っている。開き直っている。
今更、あなたの歌で売れても意味がないのに。
砂文字が消える度に
わざわざ書き直し続けていたら
いつか人の形になる気がしていた。
あなたのペンはいつも口より雄弁だった。
春物を出しては仕舞う度、
あなたの描写は適当になっていって、
元通りの自分に戻っていっている。
それが許せなかった。
もう何度目かの独白です。
他人事でいいから、聞いていて。
細部まで凝ったその歌詞に、
貴女は最後まで宿らなかった。
勝手な独り言の体だが、
誰宛てかは明白だった。
ゆえに、告白と名付けた。
ぶん殴ってくれていいからさ、
続ける意味を僕にくれ。
探さなくても傍にあったもの。
それすら失わないと動かない手。
うん、それで合っている。出に使っている。
たかが音楽のために。
最後で、二度目の告白です。