あなたは独り雨に濡れて
部屋のドアを叩いて
僕はその手を握りしめて
頬に押し当てる。
もう自分を責めないで、
誰のせいでもないと解って
どんな言葉で傷つけてもいいよ。
行かないで、ここでふたりで暮らそう、
あなたを幸せにするよ、
泣かないで、すべて洗い流すように
僕の中に雨が降る。
少女のころに好きだったと
いつか言ってた歌が
古い映画の場面のように
ふいによみがえる。
もう帰れる場所はない、
捻れたフィルム巻き戻すように
どんな罪でも 嘘をついてもいいよ。
このままで、ここでふたり暮らしても
あなたは幸せじゃない、と
泣かないで、すべて洗い流すように
僕の中に雨が降る。
行かないで、ここで、僕とはじめよう、
あなたは哀しい目をして、
泣かないで、ここでふたり暮らしても
あなたは幸せじゃない、と
このままで、すべて洗い流すように
僕の中に雨が降る。
雨が降る。