白く掠れたまま消えかけてく空を、
僕らは見上げていた。拍手の中。
マスクをしたままうつむいて、
なんにも出来ずにあきらめた。
そんな僕らを見て夏の魔物は言う、
このままでいいのか?と。
鳴り止まぬ歓声は聴こえはしないけれど。
夏の始まり告げてるような
青春のファンファーレが、
夢で滲んだまま曇りがちな空と、
僕らの胸に響く。
失くしたものと奪われたもの。
あの夏の日のコントレイルが、
白く掠れたまま消えかけてく空を、
僕らは見上げていた。拍手の中。
勝者と敗者に分けたなら、
僕らは確かに後者だろう。
でもそこに残った思い出の数には、
差なんてないのだから。
鳴り止まぬ歓声が僕には聴こえている。
夏の終わりを迎えた時に
青春のファンファーレを、
人生の讃歌に変えてゆけるように、
必死で奏でてゆく。
“失くしたもの”を奪い返した
この夏の日のコントレイルを、
この先も僕らは忘れはしないだろう。
勝ち負けじゃ決めれない大切なもの。