雲から零れた月明かりが
老いた桜木の骨を晒す
雪にも雨にもなれぬまま
手の甲でみぞれが息絶える
始発列車の先端が
街のまぶたをこじ開ける
酒の燃えかすを腹に揺らし
前歯の隙間から唾を弾く
俺はいつまで繰り返すのか!
いつまで俺を繰り返すのか!!
爪を丸めたショベルカーが
河川敷の隅で拗ねている
矢印に並んだ渡り鳥が
矢印の方向に空を割る
あやふやな足取りは それでも
もうじき橋を渡り切る
嫌みなまでに澄んだ風を
頬に閉じ込めて弄ぶ
俺はいつまで繰り返すのか!
いつまで俺を繰り返すのか!!
俺はいつまで繰り返すのか!
いつまで俺を繰り返すのか!!
これは“はちまんさん”の口か肛門か
ねずみ色に褪せた鳥居をくぐる
ならば俺は“はちまんさん”の餌か糞か
柏手が虚空にどん詰まる