寄せては返す波間に もう二度と出会えない
あなたを重ねて揺られていた
思い出ばかり増やして 退屈を分け合った
何もない それがよけいに二人をそっと近づけていた
漂う間だけ壊れずにいた 泡のような日々だったけど
水面のようにきらきら輝いていた
もう帰らない あなたがいた夏の日
焦げ付く太陽の余熱を夜風に沈めた
今も離れないのは あの日みた夏花火
ゆっくり落ちる光のつぶ 音もなく消えていった
砂に足をとられ動けなかった
このまま季節だけがあなたをさらって
終わったはずの花火を水に入れたら
なぜだろう 小さな音がして
また胸が軋んだ
忘れたはずだった あなたとの夏の日の
最後に消えた光のつぶ 今もまだ残っている
今もただ残っている