親のしうちを 怨むじゃないが
何の因果で 街道やくざ
愚痴は言うまい 男じゃないか……
野暮でござんす 野暮でござんす 番場の旅がらす
軒のしずくが 頬に落ち
瞼ぬらした それだけよ
ひと目逢いたい 名乗りがしたい
幼なごころの夢ひとつ
醒めて哀しや エェ…路地の雨
他人(ひと)の妻でも 子を持つ身なら
通う情(なさけ)も 血もあるものを
倅(せがれ)来たかと なぜ呼べぬのか……
罪でござんす 罪でござんす 一夜(ひとよ)の親ごころ
たとえ草鞋(わらじ)の紐が切れたって
親子の縁は切れることが あるもんか
なにが情ねェだ!出直せだ!
呼ばれたって二度と来るもんか!
俺(おい)らのおっ母さんは…
おっ母さんは…この瞼の中に
いつだって いてくれるんだ
なんで今さら 堅気(かたぎ)になれと
叱るつもりか 水熊灯(みずくまあか)り
それを言うなら あの日に帰せ
つろうござんす つろうござんす 雪夜のもどり笠
泣くんじゃねェけど おっ母さん 逢いてェよ〜ッ!