夏の日に蜉蝣(かげろう)を見て
何故か愛しく感じた
羽音の調べは優しい子守歌に
土の中にかくれんぼ
そして地上に舞うのはわずかにして
息絶えまた土に還る
儚くも散り行く姿重なった
知らないうちにそこにあった
ただ押し寄せるあなたへの想い
胸は満ちて息が苦しい
どうか恋よ散らないでいて
還る場所はないはずだから
夜の海に光を灯す青い夜光虫
旅人が辿り行く道しるべなのか
薄明かり這いつくばっても行かなくちゃ
あなたまではひどく遠い
だけど足を止められない
道の途中は目に映らない
辿り着いた先にあなた
あなただけを捉えられたら
数多幾干(あまたいくせん)
うたかたと消えた想いを
空へと放って燦々と浴びてみようか
こんな気持を知っただけでも
幸せだと言えるのだろう
胸は爛(ただ)れ締め付けられても
どうか恋を咎(とが)めないで
せめてしんと眠りに就かせて