当然のように明日も
あなたと私は今日の地続きで生きる
ふやけた幸もしがない不幸も
あけすけに痛みを育む
いつかまた恋をするなら
恋をするなら、春が良い
君の髪は誰も踏み入れない草原のよう
風を孕んで膨らんでパッと離す
運ぶ香りを吸い込んでしまったら
「これが、春だ」と早とちりしてしまう
花降る道にふたりの亡霊
もうなにも恐いことは無い
微笑んで。ああ綺麗だよ幸福だ
ずっと、このまま
唯、春の夜の夢のごとし
あなたの前から居なくなる
赦してね、柔い幻
ふわふわり、解けてゆく
唯、春の夜の夢のごとし
さらば、思い出は通り雨
あの日にもし、戻れるなら
次は上手に間違えましょう
風船のように膨れて大きくみせても
中身はとっても脆く
何かの拍子で穴が開いたなら
そこから萎んでしまう
いつからだこうなったのは
こうなったのは、春のせい
花の筏はひとりの筏
もうなにも縛るものは無い
漕ぎ出して、さあどこまでもいけるよと
強がりをした
唯、春の夜の夢のごとし
あなたの前から居なくなる
赦してね、弱い私を
いまでさえ戯けている
唯、春の夜の夢のごとし
麗ら、面影は疾うに褪せ
あの日にもし、戻れるなら
次は上手に間違えましょう
ふわ、ふわり、ふわり
頬の熱が春風に溶けてゆく
ふわ、ふわり、ふわり浮かぶ
ふたりは春の亡霊
[ Romaji ]
春の夜の夢のように儚く消えてゆく面影を、亡霊に例えて描き出す幻想的な世界観に心を奪われました。あの日上手に間違えられたらという切ない後悔が、美しくも脆い幻となって空に溶けていきます。一人で漕ぎ出す筏の孤独と、解けてゆく幸福の記憶が混ざり合い、春風の中に消えてしまう二人の姿が、どこまでも優しくて悲しい物語でした。