夜明けがない夜に
向かうように
方舟は揺れる
冷たくなっていく
殻を捨て
空に落ちていく
天球儀はもう灰色
人の成れの果て
ツンと香る空の味
何を成して誇ったところで
いずれ塞翁が馬で
この舟には僕らだけ
見送るばかりの旅路に就く
御者のいないキャラバンに僕らの椅子
くたばれやしない世界に舟ひとつ
御者のいないキャラバンでどこかへ行く
賽の河原から愛を語るなら手紙を付けて
来世があるならどんな暗闇も紐解いて
最後になるなら言やよかったな さよならくらい
元気でいたらいつか出会うから 思い出して
賽の河原から愛を語るなら手紙を付けて
新しい命をただ生きて
空想上の青色
人は使い捨て
そっと手折る沈丁花
誰を倒して立ったところで
いずれ塞翁が馬で
この街には僕らだけ
見送るばかりの旅路に就く
御者のいないキャラバンに僕らの椅子
忘れたことさえ忘れていく
感情の残る間に手紙を書く
くたばれやしない世界に舟ひとつ
御者のいないキャラバンでどこかへ行く
賽の河原から愛を語るなら手紙を付けて
来世があるならどんな暗闇も紐解いて
最後になるなら言やよかったな さよならくらい
君が笑うならどんな世界でも色付いて
賽の河原から愛を語るなら手紙を付けて
悲しむ間もないほど夢に連れ出して
[ Romaji ]
出口のない夜を行く方舟のような孤独な旅路の中で、失われていくものへの諦念と、それでも来世や夢に希望を託す切実な祈りが交差していました。塞翁が馬という言葉に象徴される、成し遂げたことの虚無感や運命の不確かさが、冷たく透明な空気感と共に伝わってきます。感情が残っているうちに手紙を書こうとする焦燥感や、さよならを告げられなかった後悔が、静かな悲しみとなって胸を打ちました。新しい命として生き直すことを夢見ながら、暗闇を紐解こうとする魂の彷徨が、灰色の天球儀の下で儚くも美しく揺らめいています。