こんな夜には - 佐野元春の歌詞

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こんな夜には  ♪  佐野元春
作詞 : 佐野元春
作曲 : 佐野元春

こんな夜には霧に向かって言いたいことがある。
近所のみなさんには迷惑かもしれないが許してほしい。
音楽のなかには巨大な音量で再生されてはじめて
意味をもつものがある。
当然のことだ。
おれの体内を歩きまわる、Eフラットの即興的な旋律、
自由に挑ねまわる魔法の音符たちは、
おれの窓を越えて街路へと逃げてゆく。
和音がみえすいたような循環を繰りかえすあいだは、
鍵盤を叩く君の指も鈍く曇りがちだ。
君の演奏は、今夜おれがどうしても欲しかった
しめくくりのための気つけ薬なのだ。
景気よくいこう。
音の砂漠に浸る沈黙は、
地上すれすれのところでかげろうのように燃え、
乾いた花は思考の刺を隠している。
カメレオンは暗闇でバラ色に変色し、
おれは苦い失望が甘いワインに実るのを待っている。
砂漠に降るひと雫の雨をつたって、
おれは巣に戻っていく。

おれの母は傷みゆく大地。
おれの父は汚染されたバラ。
古代、はじめてこの土地に棲みついた野蛮人とともに、
おれは唄う。
彼らは足で大地を踏みならし、
原始的な太鼓を打ち鳴らし、
雷を呼び、
大気の塵にしみこんだ陽の光を集める。
燃えさかる夏の夜の偉大なる即興演奏よ!
とうもろこし畑一面を覆う悪霊たちをどうか追い払ってくれ!
休みなく流れる河を上手に誘惑してくれ!
欲望を紡ぐ景色と、そのどす黒く淀んだ暗闇の感触のなかで、
大地に棲むすべての生き物たちを打ちのめしてくれ!
そして、遠くから聴こえてくる地鳴りの音に
気をとられているあいだに、おれの形を変えてくれ!
それはたとえば、薄くて指の曲がりくねったトカゲがいい。
太陽の裂け目から光とともに舞い落ちる、
最高に優雅な旋律に導かれて、
細胞が破裂するほどの歓喜の絶頂に立って、
おれは自分の胸を叩き続けよう。
そして、肉体と魂にまとった一切を剥ぎ取り、
裸の谷を越え、よたよたと何千年もかけて歩く。

やがて山の向こう側にひろがる、
想像もできない陽の入りと対面し、一切の幻を焼き払う。
おれはそのとき生まれてはじめて、
トカゲであることの屈辱と喜びを同時に経験する。

夏の夜の偉大なる即興演奏よ!
おれも共に奏でよう。
狂気を装った滑稽な偽悪者のために、
狂気を讃える哀れな偽善者のために。
目に見えぬフリークス達の群れが菩醍樹のもとに集っている。
形を失くしたユニコーンが
エデンの園のごみすて場で泣いている。
祈りをたてる者たちの
車輪の最後のひとまわりにからまりながら、
おれはとりとめない循環のゲームから撤退する。

小径を歩く。
地面に目を落とす。
いつしか無意識に胸に刻まれた言葉、
「足元に気をつけろ、そしてしゃべるな」。
あなたはおれの後ろで微笑んでいるのか?
多分いないだろう。
いつも振り向いてしまう。
いつかあの広大な丘に立とう。
まっさらな夏に泳ごう。
噴水のしぶきの向こうに新鮮な太陽を見上げよう。
肉体は燃え尽きても、
おれはあなたの光のなかに生き残る。

唯一の絶対的存在よ、
ひとがあなたをどう呼ぼうとかまわない。
どこに棲んでいようと興味がない。
ただひと言言わせてほしい。いったい何が起こっているのか?
あなたは親友を失くした子供のように拍子抜けした顔をして、
今にもどこかへ行ってしまいそうだ。
飲み物が欲しいのなら遠慮なく言ってほしい。
人間と等身大の酒を用意しよう。
あなたはひとびとと会話を交わしているより、
酔払っていたほうが素敵に見える。
実際、まともに運転はできやしないし、
もったいぶるように披露してくれたハープの演奏も、
言っちや悪いが退屈だった。

唯一の絶対的存在よ、おれはすっかり失望しているんだ。
でも、別れぎわにおれは言った。
「雨に濡れなきやいいけどな」。
するとあなたは、
「いや、そんなことはない」と言ったのもつかのま、
空の雲は裂け、
おれは、遠く西側のどこかで、
洪水の轟く音を聴いた。


ミニ情報
アルバム「BEATITUDE-In motion 2003-増幅」収録曲
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