何もするな、
正午になる少し前、
現実と架空のあいだをくぐり抜けて、
偉大なる決意の時がやって来る。
おれは片足で立ったまま眠り、
布きれもまとわず泳ぎ、
最小限の力で、
その激しくうずまく輪の中になだれ込む
何もするな、
あるがままでいろ。
消息不明の小舟に乗りあわせた船乗りたちは
淡くまたたく双子座に導かれ、
薄く削られた予言のひときれで、
どうにか生きながらえていくだろう。
何もするな、
今夜、欲望の浮き袋に身を預け、
夜空にかかる木々の精霊たちの、気高いダンスを見にいこう
おまえとの出会いも、
運命というものを度外視してみれば、取るに足らぬできごと。
いわば、虚ろに固められた視界のなかに
偶然、浮かびあがった亡霊のようなもの。
もし、共に生きてゆく不自然さに理由があるとすれば、
それはおまえの献立表に陳列された架空の経験のせいだ。
おれはおまえの古びた体重計の不完全さを
修理することはできない。
何もするな
何もするな